この記事ではRGBとCMYKの特徴や違い、プロファイルについて解説します。
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RGBとCMYKの違い
RGBとCMYKは共に混色による色の生成の原理的な仕組みです。RGBは色光の混色(加法混色)における三原色である赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の頭文字をとった言葉で、この3色を混ぜることで様々な色を生成します。CMYKは色料の混色(減法混色)における三原色である水色(Cyan)、赤紫(Magenta)、黄(Yellow)に黒(Key Plate)を加えた4色の頭文字をとった言葉で、この4色を混ぜることで様々な色を生成します。RGBは主にテレビやパソコンなどのディスプレイで、CMYKは主に印刷物で使われています。
以降はRGBとCMYKについてより詳細に解説していきます。
RGB
RGBは主にテレビ・パソコン・スマホなどのディスプレイで使われるカラーモデルで、3色の光源のみで様々な色彩を表現します。
色光の三原色によるRGBカラーモデル
色光は混色すればするほど色が明るくなる性質があります(加法混色)。混色の元となる3つの色(Red、Green、Blue)を「色光の三原色」と呼びます。三原色の輝度をそれぞれ変えて混色することで様々な色彩を作り出すことができます。最大輝度の三原色の混色は白色、輝度ゼロの三原色の混色は黒色と定義されます。
トゥルーカラー
ディスプレイはグリッド状に並んだ発光する微細なRGBドットの集まりで構成されています。実際は、同時加法混色(色光の重ね合わせによる混色)ではなく、併置加法混色(小さな色点を高密度で並べることで色が混ざって見える錯覚を利用した混色)を利用して色彩を表現しています。RGBドットそれぞれ256段階で明度を変えて組み合わせることで、16,777,216色を表現することができます。これはトゥルーカラー(または24ビットカラー)と呼ばれます。
トゥルーカラーの数値表現はディスプレイのドットの状態を表す10進数表記(R:0-255、G:0-255、B:0-255)や16進数表記(#000000-#FFFFFF)が一般的です。
CMYK
CMYKは主に印刷物で使われるカラーモデルで、4色のインキのみで様々な色彩を表現します。
色料の三原色によるCMYカラーモデル
色料は混色すればするほど色が暗くなる性質があります(減法混色)。混色の元となる3つの色(Cyan、Magenta、Yellow)を「色料の三原色」と呼びます。三原色の濃度をそれぞれ変えて混色することで様々な色彩を作り出すことができます。最大濃度の三原色の混色は黒色、濃度ゼロの三原色の混色は白色と定義されます。
減法混色
RGBカラーモデルにおいてCyanはGreenとBlueの足し算により生成しますが、WhiteとRedの引き算によるCyanの生成も可能であり、これは白色光(White)が物体に当たった際の吸収色(Red)と反射色(Cyan)と解釈できます。反射色は物体色であり色料の色を意味します。色料の混色は引き算で生成されていると言えるので、色料の三原色の混色モデルであるCMYカラーモデルは「減法」混色と説明されるわけです。
※トゥルーカラーの混色の計算は正確には四則演算ではなく論理演算になります。文章中の足し算は「論理和」、引き算は「排他的論理和」となります。白色から色光の三原色を引くのではなく、色料の三原色同士の掛け算(論理積)でもCMYカラーモデルを再現できます。こちらの方がCMY混色の直観的イメージに近いです。
プロセスカラー
実際の印刷において、インキは理想的なCMYを再現できないため、表現できる色域がCMYカラーモデルとは異なり、CMY3色のインキを同濃度で混色しても完全な黒色になりません。そこで、黒色を表現するためのK(Kは輪郭や濃淡を表現するための黒色版であるKey Plateの頭文字から取られた)を加えたCMYK4色の実用的なカラーモデルが使われます。Kを加えることでCMYの混色によって黒を表現する必要がなくなり、インキ使用量を削減できるようになります。
印刷物の紙面は特殊なパターンで重ね合わされた微細なCMYKインキドットの集まりで構成されています。色彩は減法混色(色料の重ね合わせによる混色)と併置加法混色(小さな色点を高密度で並べることで色が混ざって見える錯覚を利用した混色)を併用して作られます。白色は紙色で表現されます。CMYKの4色で表現された色をプロセスカラーと呼びます。
プロセスカラーの数値表現はインキ量を表すパーセント表記(C:0-100%、M:0-100%、Y:0-100%、K:0-100%)が一般的です。CMYKの合計が250%を超えないようにすることが推奨されています。これは紙に転写するインキ量が多くなると乾きが悪くなり裏移りや汚れが発生しやすくなるからです。
スポットカラー
プロセスカラーで再現できない色は、あらかじめ調合した単色のインキで表現することができます。この色をスポットカラー(特色)と呼びます。
RGBからCMYKへの変換
印刷データに配置する写真画像をRGBからCMYKに変換することは実際によくあることです。RGBとCMYKは互いに表現できる色域が異なりますので、RGBモードからCMYKモードへ変更すると色合いが変化します。
左側が変換前のRGB(sRGB IEC61966-2.1)、右側がCMYK(Japan Color 2001 Coated、マッチング方式は知覚的)に変換した結果。
Adobe PhotoshopやIllustratorのプロファイル操作
画像データのカラー値に対して実際どのような見た目の色(カラーアピアランス)で表現するのかを規定するのが「プロファイル」です。
カラー設定で「作業用プロファイル」や「マッチング方式」などのデフォルト値を事前に設定しておく必要があります。
プロファイルの指定 | 画像データに埋め込むプロファイルを変更する操作で、画像データのカラー値を変更しません。また、RGBモードではRGB色空間のプロファイル、CMYKモードではCMYK色空間のプロファイルしか選べません。埋め込むプロファイルを「なし」にすることもできます。プロファイルが埋め込まれていない場合は作業用プロファイルを参照してレンダリングします。 |
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プロファイルの変換 カラーモードの変更 |
変換元の色空間のカラー値を変換先の色空間のカラー値にマッピングする操作で、画像データのカラー値を変更します。逆変換で元に戻らない一方通行の変換となります。変換元の色空間は埋め込まれたプロファイルを参照し、プロファイルが埋め込まれてない場合は作業用プロファイルを参照します。変換先の色空間は作業用プロファイルを参照または任意選択します。 |
色の校正 | プロファイルの変換を行った際の結果をプレビューする機能です。プレビューしながら作業が可能です。 |
主なRGB色空間のプロファイル
デジタルカメラやスキャナーで生成された画像データやディスプレイ出力のためのプロファイルです。以下は利用頻度が高いプロファイルです。
sRGB IEC61966-2.1 | 一般的なRGB色空間のプロファイルで、色再現のデバイス互換性が高いです。ウェブ用途の場合はこれを選んでおくのが無難です。 |
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Adobe RGB (1998) | 高品質なデジタル写真編集向けプロファイルで、sRGBよりも色空間が広くCMYK変換に優れています。Adobe RGBを正しい色で表示できるディスプレイは限られます。 |
主なCMYK色空間のプロファイル
オフセット印刷のためのプロファイルです。印刷の仕様に合わせて適切なプロファイルを選択、もしくは印刷会社の指定に従って、入稿データ作成前に設定します。以下は利用頻度が高いプロファイルです。
Japan Color 2001 Coated | コート紙を使用したオフセット印刷向けプロファイルです。オフセット印刷用途で仕様がわからない場合はこれを選んでおくのが無難です。 |
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Japan Color 2011 Coated | コート紙を使用したオフセット印刷向けプロファイルで、Japan Color 2001 Coatedの後継バージョンとなります。対応していない印刷会社もあるかもしれません。 |
主なプロファイル変換のマッチング方式
プロファイル変換の際に色域外の色を色域内にどのように収めるかの方式です。レンダリングインテントとも呼ばれます。以下は利用頻度が高いマッチング方式です。
知覚的 | 色域内外のすべての色をカラー間の相対的関係を維持するように色域内に収めて調整して、元画像の階調を可能な限り維持します。 |
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相対的な色域を維持 | 色域内の色はそのまま維持し、色域外の色は色域境界上の近似色に押し込みます。色域外の色の階調は失われますが、色域外の色が少ない場合は「知覚的」よりも良好な結果が得られます。 ※「黒点の補正を使用」のチェックを入れることでシャドウの階調が保たれるのでチェック推奨です。 |