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FSC®認証とは? |背景や仕組み、FSC®認証紙と再生紙との違い、メリット・デメリットについて解説

この記事ではFSC®認証とは何か、作られた背景や仕組み、FSC®認証紙とは何か、再生紙との違い、使用するメリットなど解説します。

FSC®認証とは?

FSC®認証とは、環境ラベリング制度のひとつで、持続可能な森林資源の活用・保全を目的として誕生した国際的な森林認証制度です。

参考リンク:FSC®ジャパン

FSC®認証が作られた背景

私たちの生活は森林資源により様々な恩恵を受けていますが、その資源を得るために破壊的な森林伐採が行われており、熱帯地域を中心に森林が消失し続けています。このような森林破壊は、地球温暖化、気候変動、生態系の破壊、水質や土壌の悪化、土砂災害の増加、先住民族の権利侵害など、様々な環境問題や社会問題の原因となっています。

また、持続可能な森林管理をしながら木材生産を行う正当な林業者も存在しますが、破壊的な森林伐採を行う林業者の方が経済的優位にあることも問題でした。

そこで、正当な林業者を守り、森林を失うことなく持続可能な形で資源を得られるようにするために、森林管理を含めサプライチェーン全体のルールを整備し、適切な森林管理を行っていると認められた林業者が生産する木材(またはルールに適合したその他の原材料)を正しく使用した製品を消費者が区別して購入できるような認証制度の必要性が検討され、FSC®(Forest Stewardship Council®、森林管理協議会)が設立されました。

FSC®認証の仕組み

FSC®認証は、単なる環境保護活動ではなく、持続可能なビジネスモデルとして仕組みが考えられています。これは環境保全・森林保全だけではなく、地域社会や合法的な経済活動を行うステークホルダーの利益まで含めて守られるよう考慮されているからです。

仕組みの概要

FSC®認証は、2つの認証と環境ラベルで構成されています。

原材料の供給源として適切な森林管理を行っていると認められた林業者は「FM認証」によって正当性が保証されます。「CoC認証」を取得した事業者は適格と認められた原材料を用いて生産した製品に信頼性の証明として「FSC®ラベル」を表示することができます。消費者は「FSC®ラベル」が表示された製品を優先的に選ぶことで、適切な森林管理を行う林業者を支え、森林保全に貢献、不適切な手段で得られた木材を使用した製品を市場から排除し、森林破壊を抑制することができます。

FM認証

「FM(Forest Management、森林管理)認証」とは、FSC®認証製品の原材料となるFSC®認証木材の供給源として、FSC®の理念(10の原則、70の基準)に沿った適切な森林管理を行っていることが審査によって確認された林業者に発行される認証です。

CoC認証

「CoC(Chain of Custody、管理の連鎖)認証」とは、FSC®認証製品が完成するまでのすべての工程で、不適格な原材料が混入していないことが審査によって確認された事業者(伐採業者、加工業者、製造業者、流通業者、印刷業者、一部の小売業者など)に発行される認証です。

原則、FSC®認証製品の製造に関わるすべての事業者がCoC認証を取得している必要があります※1。これはサプライチェーン上にCoC認証を取得していない事業者が混じるとトレーサビリティが確保できず「FSC®ラベル」の信頼性が失われるからです。

※1 非認証の事業者でも出版社特例(通称)など特殊な条件を満たす場合はサプライチェーンに参加可能

なお、一般の最終消費者にFSC®認証製品を販売しているだけの小売業者はCoC認証を取得する必要はありません。

認証の審査・監査

FM認証とCoC認証の取得は任意です。認証申請者・認証取得者への審査・監査・認証発行は、FSC®が直接行うのではなく、サービス契約を結んでいる認定機関(ASI、Accreditation Service International)を通じて、認証機関(CB、Certification body)によって行われます。FSC®とは独立した第三者機関が認証を判定することで公平性が保たれています。

FSC®・・・規格策定
認定機関(ASI)・・・認証機関(CB)の認定・監査
認証機関(CB)・・・FM認証・CoC認証の認証判定・監査

FSC®認証製品

以下のような林産物がFSC®認証製品の例となります。

木材製品 丸太、角材、板材、ベニヤ、薪、木炭、家具、建材、木箱、木工品、鉛筆、楽器など
パルプ・紙製品 紙、厚紙、ティッシュ、ノート、封筒、印刷物、紙パッケージ、紙包装、紙容器など
非木材林産物 コルク製品、籐製品、竹製品、天然ゴム製品、精油、医薬品、化粧品、草花、食品など

FSC®ラベルと原材料

「FSC®ラベル」は、FSC®認証製品の信頼性を目に見える形で示したものです。

使用している原材料の違いにより「100%」「ミックス」「リサイクル」の3種類があります。「ミックス」「リサイクル」はFSC®認証林由来ではない原材料を含む場合があります。

FSC®100% FSC®認証林由来の木材を100%使用している製品に表示することができます。
FSC®ミックス FSC®が認めている適格な原材料(FSC®認証原材料※1、FSC®管理木材※2、回収原材料※3)を混合して使用している製品に表示することができます。
FSC®リサイクル 回収原材料を100%使用している製品に表示することができます。

※1 FSC®認証原材料:FSC®100%、FSC®ミックス、FSC®リサイクルを指す。

※2 FSC®管理木材:FSC®管理木材は、林産物が許容できない供給源に由来するリスクを回避・低減します。FSC®管理木材要求事項は、違法に伐採された木材、伝統的権利・人権を侵害して伐採された木材、高い保護価値が脅かされている森林からの木材、遺伝子組み換え樹木が植えられた森林から伐採された木材、人工林や他の土地利用に転換された天然林から搬出された木材を禁止しており、これらを避けるよう設計されています。FSC®管理木材の詳細はhttps://jp.fsc.org/jp-ja/Controlled_Woodからご確認いただけます。

※3 回収原材料:FSC®の定める規格に適合した「プレコンシューマー(生産工程において使い道を失った)」と「ポストコンシューマー(消費者の使用済み廃棄物を由来とする)」の木材または木材繊維を指す。

FSC®表示の管理システム

FSC®100%、FSC®ミックス、FSC®リサイクル、FSC®管理木材、回収原材料といった様々な原材料のインプットに対し、アウトプットのFSC®表示をどうするかを規定する3種類の管理システムがあります。FSC®認証製品の特性により適切な管理システムが選択されます。

トランスファー
システム
インプットの混合がない場合はインプットと同じFSC®表示をアウトプットに用いる。インプットに混合がある場合は最もランクの低いインプットのFSC®表示をアウトプットに用いる。
パーセンテージ
システム
混合したインプット全量のうちFSC®100%相当分の比率が70%以上であればパーセンテージ付きFSC®ミックスとしてアウトプットに表示できる。70%未満のアウトプットは伝票上の表示は可能とし半製品として企業間取引できる。
クレジット
システム
混合したインプット全量のうちFSC®100%相当分をクレジットに換算、保有クレジットを消費することで1クレジットに相当する1アウトプットにFSC®ミックス表示できる。保有クレジットがなくなった場合は表示なしのアウトプットを他のCoC認証取得事業者のみに販売できる。パーセンテージシステムと異なりFSC®100%相当分の比率が70%未満でもFSC®ミックス表示できる。

FSC®認証紙とは?

「FSC®認証紙」とは、CoC認証を取得している製紙メーカーによって、FSC®が適格と認めた原材料のみを使用して製造された印刷用紙です。国際的な認証であることや、管理が徹底されていることにより、環境対応の印刷用紙における信頼性やブランド力は高いと言えます。

日本の製紙メーカーが製造する一般印刷物用途の主要なFSC®認証紙は、「クレジットシステム」を採用した「FSC®ミックス」となります。通常の印刷用紙と変わらず、コート紙、マット紙、上質紙、アート紙、高級白板紙など一般的な種類はそろっています。

» 良安で対応可能なFSC®認証紙一覧

FSC®認証紙と再生紙の違い

「再生紙」とは、回収した古紙から作られた古紙パルプを木材パルプと混合、または古紙パルプを100%使用して作られた紙です。古紙を資源として有効活用することで、廃棄物を削減するとともに木材パルプ使用量(森林伐採量)を低減します。

FSC®認証紙 再生紙
品質 通常の印刷用紙と変わりません
※ただし、古紙パルプ配合の銘柄を除く
通常の印刷用紙に比べて劣ります
※ただし、技術の向上により品質は上がっています
原材料 FSC®認証林由来の木材、FSC®管理木材、FSC®が適格と認める回収原材料 古紙パルプと木材パルプの混合、または古紙パルプ100%
※配合比率の決まりはない
サプライチェーン 原則、FM認証を取得した林業者とCoC認証を取得した事業者のみ
※非認証の事業者でも出版社特例(通称)など特殊な条件を満たす場合はサプライチェーンに参加可能
決まりはない
環境ラベル FSC®ラベル 再生紙使用マークエコマーク

FSC®認証紙を使用するメリット

パンフレットやカタログなど既存の印刷物をFSC®認証紙に切り替えるだけで、森林保全やSDGs達成に具体的な貢献ができます。また、FSC®ラベルが表示されるため、森林保全に積極的に取り組む企業だと消費者に一目で伝わり、ブランドイメージの向上にもつながります。

少なくとも、FSC®認証紙を使用すれば、意図せず森林破壊に加担してしまう可能性はなくなります。

FSC®とSDGsの達成について

FSC®認証紙を使用した印刷物を導入すれば、SDGsの17の目標と169項目のターゲットのうち、14の目標と40項目のターゲットの達成に貢献することができます。

参考リンク:SDGsの達成に貢献するFSC|FSC®ジャパン

FSC®認証紙を使用するデメリット

FSC®認証紙は流通量に限りがあり、印刷物へのFSC®ラベルの表示について認証機関の審査が必要なため、通常よりもスケジュールを要する場合があります。

印刷物へのFSC®ラベル表示

FSC®認証紙を使用すれば印刷物にFSC®ラベルを表示できるというわけではありません。CoC認証を取得している印刷会社がFSC®認証紙を使用して印刷する必要があります。FSC®ラベルには、その印刷会社の「FSC®ライセンス番号」が記載されます。

その他の森林認証制度

FSC®認証以外にも森林認証制度はいくつか存在します。国際的なものでは「PEFC森林認証制度相互承認プログラム」、日本国内では「SGEC認証」といった森林認証制度があります。

大部数印刷なら印刷通販の良安

FSC®認証紙印刷なら印刷通販の良安にお任せください。良安はオフセット大部数印刷を得意とし、色の再現性が高く高品質な印刷物を短時間で大量生産することが可能です。専任スタッフがサポートしますのでFSC®認証紙を使用した印刷物も安心してご注文いただけます。ご相談・お見積りはメールフォームよりいつでもお気軽にお問い合わせください。

まとめ

今回は、FSC®認証とは何か、作られた背景や仕組み、FSC®認証紙とは何か、再生紙との違い、使用するメリットなどを解説しました。近年では、循環型社会、持続可能性、SDGs、グリーン購入法といったトピックへの関心の高まりから、社会的義務として環境を考慮した選択を求められるようになり、環境保全に取り組む企業姿勢の明確な意思表示が重要になりました。そうした中で印刷物にFSC®認証紙を採用するケースは今後ますます増えていくと思われます。「森を守りましょう」と声高に叫ぶだけでは問題を解決することはできません。FSC®認証は企業と消費者が森林保全のために具体的な行動を取ることができる優れた仕組みのひとつといえます。

印刷通販の良安(株式会社アイカ)では、2007年にCoC認証を取得。これまでに1,500件以上のFSC®活用実績がありますので、FSC®認証紙印刷も安心してご注文いただけます。専任スタッフによる充実のサポート、ポイント還元、納品日の指定や複数のお届け先への納品も可能ですので、FSC®認証紙印刷がご入用の際は是非ご検討ください。

» 良安のFSC®認証紙印刷はこちら

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